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『ラストエンペラー』は、1987年にイタリア、イギリス、中国によって製作された歴史伝記映画の名作であり、溥儀が1964年に著した自伝『わが半生』を原作としています。
第60回アカデミー賞では9部門を制覇し、その壮大な物語と映像美によって、今なお語り継がれる傑作となりました。
本作が描き出すのは、中国最後の皇帝・溥儀の波瀾に満ちた生涯。
清朝の滅亡、復辟の混乱、軍閥割拠、満洲国の成立、そして激動の時代のうねりのなかで、至尊の座にあったひとりの皇帝が、やがて一人の平凡な人間へと移りゆく姿は、そのまま20世紀という時代そのものの縮図でもあります。
この物語に着想を得て、日本人アーティスト山本修が新たに描き出したのが、『The Last Empurrer』――すなわち「末代猫帝」です。
ポスターに描かれるのは、1908年、わずか3歳で即位した幼き「猫儀」。
金碧燦然たる宮廷の華やかさと、そこに潜む深い閉塞とが交錯するなかで育ち、運命の反転と時代の移ろいに翻弄されてゆくその姿には、幼さと孤独、気高さとやるせなさが同時に宿っています。
山本修は、この歴史の一幕に、やわらかくも胸を打つ新たな視点をそっと差し入れました。
その栄枯盛衰の物語に呼応するように、
今回選ばれたのは、すでに閉鎖された蒸溜所Imperialによるシングルカスク。
蒸溜年は、蒸溜所が幕を閉じる直前の1998年。
バーボンバレルの中で27年という長い歳月を静かに重ね、時の流れがゆるやかにその酒質を磨き上げてきました。
香りには、柑橘マーマレードにヨーグルトや乳脂のまろやかさが溶け合い、白桃や花蜜の甘やかな気配が優雅に立ちのぼります。
口に含めば、みずみずしい果汁感とトロピカルフルーツが幾重にも花開き、マンゴーの濃やかな甘みと、ほのかな塩気が交差しながら、まるで盛世の絢爛を思わせる広がりを見せます。
そしてフィニッシュは、カカオとクローヴのスパイシーな余韻へと静かに収束し、時代の幕引きのあとに残される静寂のように、長く、深く、心に留まります。
それはまるで、栄華と孤独、隆盛と終焉のあわいをたどる一篇の風味の物語。
華やぎの奥にたたえられた静けさを味わいながら、「末代」という名にふさわしい、気品と落ち着きを湛えた一本です。
~テイスティングノート~
・香り:柑橘マーマレード、オレンジブロッサム、ヨーグルト、乳脂のまろやかさ、白桃、塩を添えたバター、線香、花蜜。
・味わい:果汁感に富み、柑橘マーマレード、トロピカルフルーツ、マンゴーが豊かに広がり、そこへほのかな塩気が奥行きを添えます。
・フィニッシュ:マンゴー、ほのかな塩味、カカオ、クローヴ。
静かでありながら印象深く、端正な余韻が長く続きます。
