商品説明
『ホームズ』のイラストは、漫画家の上村一夫によって1983年に小学館より出版された「名探偵ホームズ全集」全15巻の表紙と挿絵のために描かれました。
上村一夫(1940-1986)は、1970年代に「同棲時代」や「修羅雪姫」といった劇画作品で一世を風靡した漫画家ですが、一方で多くのイラストや挿絵を残しており、その流麗な筆致から昭和の絵師と呼ばれ、今もなお国内外で根強いファンを魅了しています。
「お酒を愛した漫画家・上村一夫」
昭和の絵師と呼ばれた漫画家・上村一夫は、漫画界きっての酒飲みでした。
1972年に「同棲時代」や「修羅雪姫」などの作品で人気を博した後は、月産400枚もの原稿を描き上げる多忙な日々を送っていましたが、それでも毎夜酒場へと繰り出すような人でした。
その頃の1日のスケジュールはというと、まずは昼過ぎにブラックコーヒーで酔いを覚ました後、事務所に出勤。事務所のマンション一階にある喫茶店でネームを描き、それを携えアシスタントの部屋へ向かい、その日の仕事を渡し、本人も夜の8時、9時頃まで一心不乱に原稿を描き上げます。(筆はとても早く、締め切りを落とすことはなかったそうです。)
その間、仕事場へ原稿を取りにやってきた編集者の面々は、ちびりちびりとお酒など飲みながら原稿の上がりを待ったそうです。当時上村プロダクションの秘書は、そんな編集者に酒の肴を用意するのも仕事のうちだったそうです。
そして夜も更け、仕事を切り上げると、まずは丁寧に歯を磨き、ウイスキーをストレートでクイと呷り、「ちょいと行きますか」と編集者に声をかけ、夜の街に繰り出したそうです。銀座、赤坂、四谷、新宿、渋谷など、一晩で何軒もハシゴして、家に帰るのは空が明るくなる頃、というのもざらでした。とにかく付き合いが良く、先に帰ることはせず、得意のギターで十八番を歌い、皆を楽しませ、いつも人に奢ってばかり。
それ故か、父が亡くなった後に父のことを悪く言う人はいませんでした。そんな仕事とお酒に人生の大半を捧げた父・上村一夫は今年で生誕80年を迎えます。父が亡くなって30年以上経ちますが、有り難いことにいまだに作品が復刻され、近年ではヨーロッパを中心として海外でも多くの作品が出版されています。そしてこの度、父が何よりも愛したウイスキーのラベルに絵を使っていただくことになり、父が生きていたらどんなに喜んだことか、と感慨深く思います。
上村一夫オフィス・上村 汀
テイスティングノート
カラー:極淡い麦わら。
香り:煮込んだリンゴ、麦芽糖、シナモン、メントール、奥から熟したオレンジ、バニラ、スポンジケーキ、黄色い花。
味わい:シトラス類のピールを想わすフルーティーな酸味と渋味に寄り添う穏やかな麦芽の甘味。さらにしっかりとしたドライなオーク。
フィニッシュ:爽やかな果実の甘味の後から、パウダースパイスのようなドライさが長く続きます。
(インポーター資料より)